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AC(アダルトチルドレン)

投稿日:2007/07/25

NPOの会員募集を始めて、色々な方々から問い合わせがあり、おかげさまで会員数が増えつつあります。会員に入られた方のなかには、精神看護・精神科看護に関して真剣に取り組もうと思われている方々が多く、我々のNPOの存在意義もあるというものです。医療相談に関しましても、法人を取得してから特に増えた傾向がありますが、同時に、潜在的にどれだけのかたが困っているのかという事も実感いたしました。また、精神科疾患に関して、地域のフォローやサービスがいかに遅れているのかという事も実感いたしました。引き続き、NPO活動を積極的に行い、それが少しでも多く患者様・当事者に還元される事を願っております。では、本題に入りたいと思います。

AC=アダルトチルドレンと称されるこの用語、定義や言葉そのもののあり方など、今でも議論され尽くされない部分があるが、簡単に言うと、

“機能不全家庭”に育った人を指す。

よく誤解されるのが、英語を直訳して「おとな こども」と訳してしまう事である。このように訳すと、「子どもから、大人になりきれない人」ととってしまう人も多くいるようだが、決してそうではない。医療従事者なら比較的その認識は低くないであろうが、世間一般では、やはり誤解されている人も少なくなかろう。

ACは、もともとはアルコール依存症患者等、いわゆる酒害家庭に育った当時の子どもが成人した人々のことを指すようであるが、細かい議論はさておき、現在では機能不全家庭、つまり、夫婦仲の不和、離婚、身体的・精神的・性的虐待、
子どもへの無関心、子どもの自主性を認め無い育て方をした親、等々多岐にわたる。

ここで述べたACの、いわゆる機能不全家庭がどの程度あるかと考えてみた場合、決して他人事ではない事がわかる。もしかしたら、自分がその様な家庭で育っているかもしれないし、姉妹兄弟がそうかもしれない。友人や同じ職場の人もそれに該当する人は多いはずだ。

誤解されてはならないのは、ACという呼称は“病名ではない”ということ。一つは、この言葉を自覚して、自己認識を高める為に必要な用語であると認識する事が大事、との見方がある。以下ウィキペディアを参照してみた。


ACの主要な特徴として、

1、正しいと思われることにも疑いをもつ
2、最初から最後まで、ひとつのことをやり抜くことが難しい
3、本音を言えるような場面で嘘をつく
4、自分を情け容赦なく批判する
5、自分のことを深刻に考え過ぎる
6、様々なことを楽しむことができない
7、他人と親密な(心の通った)関係がもてない
8、環境の変化に過剰反応する
9、常に他人から肯定され、受け入れられることを求めている
10、自分は他人とは違っていると感じている
11、過剰に責任をもったり、過剰に無責任になったりする
12、従うことに価値がない場面でも、従いがちである
13、衝動的で、ひとつのことに閉じこもる
14、離人感、自分が自分でなくなるような感覚
15、身体性が希薄
16、他人への依存
17、自立的な判断と思考の欠如・周囲の期待に合わせようとする
18、ストレートに「いやです」が言えない
19、甘えと愛情、依存としがみつきの区別がつかない
20、妄想を持つことがある
21、喜怒哀楽の表現が不得手
22、楽しむこと、遊ぶことがうまくできない
23、自分を殺して、違う自分に成り代わり、期待されている自分を演技してしまう
24、他人からの承認を必要とする
25、自己処罰癖、自罰傾向がある
26、無力感を訴え、心身症に陥りやすい


特徴的な心理パターンとして
27、自分の判断に自信がもてない
28、常に他人の賛同と称賛を必要とする
29、自分は他人と違っていると思い込みやすい
30、傷つきやすく、閉じこもりがち
31、孤独感、自己疎外感が強い
32、感情の波が激しい
33、物事を最後までやり遂げることが困難
34、習慣的に嘘をついてしまう
35、罪悪感をもちやすく、自罰的、自虐的
36、過剰に自責的な一方で無責任
37、自己感情の認識、表現、統制が下手
38、自分にはどうにもできないことに過剰反応する
39、世話やきに熱中しやすい
40、必要以上に自己犠牲的
41、物事にのめり込みやすく、方向転換が困難
42、衝動的、行動的。そのためのトラブルが多い
43、他人に依存的、または逆に極めて支配的
44、リラックスして楽しむことができない

                              出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』



以上、項目だけでも44項目もあり、実際に見てみるだけでも、沢山当てはまる人がいるかもしれない。ざっと見るだけで、状況によって該当するものもあるだろうが、これら全て、極端な例として理解したほうがわかりやすいだろう。しかし、

3、本音を言えるような場面で嘘をつく

7、他人と親密な(心の通った)関係がもてない

11、過剰に責任をもったり、過剰に無責任になったりする

16、他人への依存

23、自分を殺して、違う自分に成り代わり、期待されている自分を演技してしまう

30、傷つきやすく、閉じこもりがち

33、物事を最後までやり遂げることが困難

36、過剰に自責的な一方で無責任

39、世話やきに熱中しやすい

41、物事にのめり込みやすく、方向転換が困難

43、他人に依存的、または逆に極めて支配的

さらに項目を絞っても、この程度で状況の強弱はあれど、ややわかりやすいのではなかろうか。

だが、これらがあるからといって =(イコール)ACであるというわけでもなく、どれかが顕著に偏っていれば、正確な医学的診断が付けられるであろうし、むしろ、この項目を見て、自らが自覚し、より社会的に成長するためのものとして活用するべきである。
繰り返すが、ACは病名ではない。数々の精神疾患があるなかで、これらの項目を強く有する人は、また別に医学的診断が付く。また、多くの項目に該当しても、社会的に順応していれば、医学的診断がつくはずもなく、逆に、本来あるACの原義に添ったものとなる。仮にこの項目にほとんど該当しなかったとして、そして、いわゆる機能不全家庭で育ったということでなかったとしたら、相手を機能不全家庭に育った人間であるとただ特定するために使用するのではなく、相手を理解する為のものとして活用すべきである。

この第3者的ACの視点は、相手の心を掌握するものではなく、看護の原点はその“相手を理解しようとする”という部分にあり、特に医療従事者は、相手を理解する為の無限のパターンの中の“一つのあり方”に過ぎないということを知っておくべきである。








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