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医療改革者と世襲腐敗という拮抗

投稿日:2007/12/29

さて、いつの間にか年末。すでに29日。先日予備校の生徒に「せんせ~、本買います~。電車で読みますね~」と黄色い声でいわれ、非常にテンションMAX。これから看護師免許をとる生徒たちにとって難しくはないかと思ったりもしましたが、「難しいで!」なんていいながら、本を手渡しました。予備校の学生全員合格することを願ってます。学生もっと頑張れよ!

今日は、年末に硬い話ですが重要なお話です。そのお話の前に↓をクリックしてランキングのご協力をお願いします。

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今年は、主に食品を中心とした偽装問題が話題となった。
いうまでもなく、これらは今年始まったものではなく、長年続けられていた問題なのだろう。
ところが、時代のニーズに合わせてその見方も厳しくなり、時代に合わせて変えていかなければならなかった経営手法を、それに気づかず惰性できてしまった。そこに、一つの偽装ブームが起き、“我先に”と、告発が続いたのであろう。


そこで一つの特徴に着目してほしい。偽装問題が取り上げられた企業は、そのほとんどが




※ほぼ世襲で塗り固められた経営陣



なのである。


そこには慣れ合いの経営から、“間違った利益優先主義”と怠慢があったにちがいない。

※世襲は、経営を円滑にするという長所を持つ反面、それ以上に経営を腐敗させる。

これを、方程式として主張するつもりはない。世襲であっても、素晴らしい会社はたんとある。しかし、少なくとも長期の世襲は企業を腐敗させる一要因となりうる。


病院経営であっても同じである。特に、地方の個人経営精神科単価の病院は、病院発生経過の特殊上、世襲の傾向が強い。

世襲経営は、新しい能力を拒む傾向がある。それは、己の立場を揺るがす可能性があると恐れているからである。自覚がないことがその問題に拍車をかけている。
企業を脅かす存在であるのか、繁栄に寄与される存在であるのかを冷静に判断できる経営者であってこそ、能力のある経営者であるといえよう。世襲に埋もれて、利権に埋没してしまった経営者はいつか崩壊する。



ここで“病院発生経過の特殊上”

という表現を使ったが、地方の精神科単価病院は、その時代、医療関係者でなくとも病院を興すことができた。だが、そこから病院を育てることは容易ではなかっただろう。そこに各病院の経営者の気持ちが、我々に対しても“足跡”として残っているのである。

「先代の経営者はよかった。社員を大事にしてくれた」

これは病院経営以外でもよく聞く言葉である。
特に、世襲で後を継ぎ、先代が世を去ったときその色は濃くなる。

果たして“隣の芝生”的な感覚なのだろうか。
いや、そうではない。一から事業を興すのと、後を継ぐのとでは到底苦労のさが違う。同時に最低限必要な力量も違うのだろう。つまり、

※なるべくしてなった後継者なのかどうか

ここが問われるところであろう。偽装問題だけではなく、大手電気メーカーの三洋電機も世襲制がはびこっており、先日株式市場で整理ポストに入ったところである。
世襲制そのものを否定しているのではない。世襲制であっても、思い切った人事と改革ができる人間こそ企業を“健全なまま”存続させることができ、且つ、社員のため、そして経営理念に偽りなく会社経営を継続していくことができる。

残念ながら、日本の医療に関してもさまざまな体質がはびこっている。精神科においても特別ではない。
日本の精神科医療を変えるためには、


※長い物に巻かれろ

という精神では、絶対に目標は達成できない。
最大限の協調性を求める努力のもと、踏み込むところへはひるむことなく踏み込まなくてはならない。そこで、持ってはならないものがある。


・憎しみ 嫉妬 やっかみ


という気持ちである。この気持ちを持ってしまい、自分を見失っては本当の医療改革はできない。まず、自らをコントロールすべきである。
この上でも、利権主義に陥った者たちは妨害してくる。そこには、残念ながら理論武装が必要となるのだが、そこでも極力相手を攻撃することを避けなければならない。ただ、残念なことに裏に手をまわして色々な方法で間接的に攻撃してくるものもいなくはない。そのようなときは、仕方なく牽制しなくてはならないのだが、改革者側がまっとうな行動をとっていたなら、相手はそれ以上の行動に出ることはできないので安心してよいだろう。


複雑なことを述べたが、今の日本の医療改革は専門知識を持った者が第三者機関として切り込む必要がある。でなければ、

・看護師の業務拡大(簡単な薬剤処方等)

などといった理解不能な議論もでてきたりするのである。

  


今、日本の医療は今までにない危機に迫られている。この医療の衰退を一部の人間に委ねていて果たして問題は解決するのだろうか。
それは、今までの日本の政治と医療組織体制の在り方を見れば答えは見えてくるはずである。







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