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心神喪失か心神耗弱か

投稿日:2008/03/13

今精神科関連で話題になっている、三橋歌織被告の精神鑑定問題。

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状況は違うが、今問われる責任能力として現行法で「責任能力」を基準にして裁判を争われるということに触れたことがあった。


今、実際に再び三橋歌織被告の事件で「責任能力」が争点となり争われている。
今回は、私がblogを書いた当時とは状況が違い、検事・弁護側ともが

※心神喪失状態

との報告をした。これは、両方の精神科医が資料を共有していたなどと報じられおり、何か裏がある可能性が大きいが、どちらにしろ今回の事件に関して

※犯行時、心神喪失状態にあったということはありえない


まず、残虐な犯行を行う瞬間は、精神科疾患に罹患しているかを問わず正常な状況であるはずがない。これを心神喪失と表現するならば全ての犯罪が無罪になり得る。
歌織被告がこのまま無罪になるとすれば、精神科医の曖昧さとレベルの低さという醜態をさらすばかりか、法律そのものを考え直さなければならなくなってしまう。

被告は犯行後のこぎりを買い、夫である三橋祐輔さん体を分断しひとつずつ違う場所に運んで隠蔽。その後リフォームをするなど一つ一つの行動がしっかりしている。

また、昨日の報道で歌織被告自身、幻覚があることを告白したが、ここで勘違いしてはならないことがある。

※幻覚(幻視・幻聴)がある=心神喪失

ではないということである。
ともすれば、
統合失調症=心神喪失
と解釈されかねない。というよりも、すでにそれを利用した悪質なものもある。
この悪質なものや誤解は、統合失調症患者への偏見を助長する危険性さえある。

仮に被告が平時から幻覚を有していたとしても、情報から判断すれば、被告の日常生活は十分に行えている。むしろ、正常に近いレベルであったと判断できる。と、考えると幻覚はそこで争点の具にするには乏しい。


そもそも今回の問題に関して責任能力を争点とした場合、歌織被告の幻覚の有無はあまり関係なくなってくる。
特に狂乱していた様子もなく、唯一つ「覚えていない」との供述。
犯行後、隠蔽のために淡々と死体を運び投棄したところをみると、犯行自体を十分認識していたことになり、実際に歌織被告自身も「わかっていた」との供述をしている。

殺人の裁判の問題は、
※犯行の瞬間
を軸に議論するところである。

犯行時の心神喪失・心神耗弱・正常などの状況はだれにもわかるはずもなく、予想で判断するなどということはあってはならず、ましてや精神科医であってもその時の精神状態など

※よほど明らかでない場合以外は断定できないのである。

であるから、犯行時と犯行後の行動を総合的に見ても、心神喪失はありえず
心神耗弱というよりも、責任能力が十分にあったとする判決が妥当であろう。


このままでは、本当に救われるべき明らかな心神喪失状態にある人もまとめて罰せられる風潮が現れる可能性は否定できない。
罰すべき人を罰すために、救われるべき人を救うために、今一度「責任能力」について奥深い議論をしなければならない時期に来ているのではないだろうか。






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