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大阪府の発表より~障害の「害」のひらがな表記取扱いについて の問題~

投稿日:2008/03/27

今日(といっても日付がかわりましたが)、調べごとがあり大阪府のホームページを見ていたところ思わぬ報道発表資料が眼に入り、放置できないと判断。今回記事に残すことにしました。

ここをクリックしてから読んでね。
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「障害者」という表現を、「障がい者」と表現を変えた。

と、聞いたとしたらあなたは率直にどう思うだろうか。



・差別や偏見が少なくなる
・心身に障害のある人の心の傷が少しでも癒される。


ひらがな表示を推進している人間はこう思っているのだろうか。
これは、約1年半前の私のblogに記載した時も懸念していたことであるが、まさか大阪府がこのような方針を示すとは「腰が抜けた」という表現が一番適切かもしれない。


障害を「障がい」という表現に置き換えているのは、すでに東京の多摩市やある団体などが実施しているが、本当にこれが“根本的”とは言わないまでも部分的解決になると考えているのだろうか。


私の考えは、直接の差別を表す言葉は使用すべきでないというのが持論である。でなければ、どのような言葉をどのような風に変えても差別の様式も変化し続け一時的な問題解決どころか、差別や偏見といった問題の解決にならないだけではなく、日本語という素晴らしい文化すら無くしてしまうことになる。


障害という字を「障がい」とする必要があるならば、「患者」という言葉もひらがなに変える必要があろう。いっそのこと、「障害者」を「しょうがいしゃ」とすればいい。これで、偏見が無くなるならそうすべきだ。
もしそれが解決の根本理由もしくは、劇的に差別偏見をなくせると考えるなら、


※漢字そのものが偏見の原因であった


まさに、今大阪府が行おうとしていることはそう言っているも同然のことなのである。
漢字をひらがな表記にするなどという短絡的な発想は、今の日本社会を象徴しているともいえる。



私はその報道資料を見て、すぐに府庁に問い合わせた。決定の経緯を知っている直接の担当の方ではなかったが、26日の報道発表資料の「ひらがな表記について」どのような経緯で決定したのかを問うた。

私の「橋下知事が意見したのですか?」という質問に対して

「障害のある方が少しでも偏見から逃れられ安心できるのであればということで、議会で決定しました」

という旨の回答。

障害のある方への配慮・気持ちとしてはありがたいが、本当にそういう気持ちがあるなら、この決定は下さないことが一番障害のある方への配慮だ。
また、これは本当に橋下知事発信の意見なのかというのも気になる。

この「ひらがな表記」に関する提案が、突然降って湧いたようにも思うが、これは私だけだろうか。
橋下知事が、こういう問題に関して今まで考えたことがなかったという前提で、何者かの提案があったために、意見を受けて差別や偏見で苦労されている方々への配慮として橋下知事がいち早く行動に移した。こう考えるのが自然ではなかろうか。


私は橋下知事を批判しているのではない。まず、私の言っているような意見についてどう思うのか、これを受けても尚ひらがな表示とすることを正しいとするのか。



そうなると、障害のある人間に対しての「健常」という表現や
、また別に、日常使われる「邪魔」などという言葉も見直さなければならなくなる。次から次へと漢字という長い歴史が作った言葉をくだらない綺麗ごとでかえてしまってよいのだろうか。

障害を「障がい」としても、その意味は?と聞くと害には変わりないのである。害といっても、障害を持っている人のことを害と表現しているのではないのだから、何も問題はない。むしろ、今まであった言葉にたいして「問題はない」と表現しなければならなくなったこの世の中が不自然であり、問題である。
この、“障害”と“障がい”という表現の問題に関しては、私が1年半ほど前に記事に残したものに一度目を通していただければさらに面白いと思う。


今回の大阪府に突然起こったこの出来事は、何者かの団体がその地位を築くために府庁に提案したように見えてならない。「障害」を「障がい」としている団体や地域は限られている。

何かのしがらみ・利権問題と絡んでいないことを願う。橋下知事に関しては、この導入の経緯を公表し、改めて訂正しなおすことに関しては“説明責任”を果たせばだれも疑問に思わないはずだ。むしろ、これを推進したその者が批判されるべきである。
このように一見、・患者・当事者・障害者を救おうとするような偽善行動は決して許してはならない。

私は、全身全霊をもって主張する。


<追記>
漢字の使用の変化の経緯について情報が入ったので追記する。

障害という字は、1945年の終戦までは「障碍」とかかれていたという。障碍の碍の文字は戦後、常用漢字である「害」が同じ読みだということで単にあてはめられて使用するようになったということである。
「障碍」この障と碍は、どちらも「さしさわる」とか「さしつかえる」とかいう意味を持つようだが、その使用は問題なく「害」という一見直接的に聞こえが悪いから変える必要があるという単純な発想のようだ。

こうのような経緯があったとしても、一つの問題を取り上げてひらがな表記にするということは短絡的であり、どちらにしてもこれまでの述べたような言葉の諸問題は起こりうることには変わりない。



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