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たばこ税増税論の陰で
日本の逼迫した財政状況のなかで、消費税増税案と同時に、たばこ1箱1000円論が議論され始めていますが・・・
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さてさて、
たばこ税増税案、
たばこひと箱1000円論・・・
よくもまぁ、思い切ったことを提案したものだと、
実際23歳の頃にたばこをやめた私からすれば大歓迎な話で、国民の平均寿命も飛躍的に伸びるだろう。ただ、喫煙者からすれば迷惑な話だというだけで・・・
と、
その程度の問題だと軽く考えていたのだが、最近大きな問題であることに気付いた。
皆様も同じことを考えているのだろうが・・・・
たばこの値段が上がればどうなるか。
そう、入院中の患者にもその負担は強いられる。
“増税の負担を平等に”
という考えだけを聞けばスムーズに耳に入ってくるのであるが、現場を見ればそうではない。特に、精神科に入院している患者の現状を考えればその問題が小さなものでないことがわかる。
例えば、精神科に入院している患者の生活資金背景などをみるとどうだろうか。多くは収入が少ない、生活保護や障害者年金、家族の扶養のもと少ない金銭で入院生活を送っている人も少なくない。いや、その大半がそうだろう。
※たばこなどの贅沢品は、自分の小遣いの中で買うべきだ。
このような意見もあるだろう。確かに現実的にはそうなのかもしれない。
しかし、疾患的な特徴や入院療養的背景をみると一概にはそのように言えなくなる。
他科と違って、精神科は閉鎖病棟である病棟が多く、一昔前よりレクリエーションや、通信の自由、マスメディアの発達などで患者の自由度が増したとはいえ、まだまだ日常生活とは程遠い自由度。他科と比べてもやはり劣る。そのような中で、増税によって、たばこという娯楽を奪われる患者は少なくないだろう。そしてあなたがそのような状況・立場に立たされたらどうだろうか。平気な顔で“自由に増税してください”と言えるだろうか。
そこに加えてもうひとつ大きな問題がある。
※たばこは抗精神病薬の副作用を軽減させるという特徴がある
ということ。
これは、精神科関連の患者に対して特異的に影響が大きい問題である。
・日常生活の余暇をたばこで過ごしていたものが、その自由を奪われる。ただそれだけではなく、抗精神病薬の副作用を、たばこを吸うことで何とか落ち着かせていたその気分さえ緩和することができなくなるのである。
たばこ税増税論議は、続ける必要はあるとおもう。
しかしその議論は、特殊な生活背景のもとで予期せぬ自由を奪われる可能性があることを知った上で、なされる必要があろう。
安易な発想で、
「最初は煙草を吸いたいと訴えてくるだろうが、しばらくすれば吸わなくなるのでは?」
というような意見もあるかもしれないが、全員(スタッフも含めて)がたばこを吸わなくなるならともかく、それでたばこを吸わなくなるというのは、私の経験からしてほとんどの患者にありえない話である。
むしろ、たばこを吸えないことで不穏となり、精神状態が悪化したと判断され、増薬、あるいは隔離や拘束の処遇となる患者も出てこなくはないだろう。
たばこの税金が上がることで、QOLどころか患者の人生そのものまで変わってしまう事態が容易に起き得るだろう。
たばこ税増税論議を進めるにあたっては、
・特例措置
こういう発想があってもいいかもしれない。
だがその前に、
※政策を議論している国会議員は、まずこのような現状を知ること
が重要であり、政策を進めていく立場にある人間の責務ではなかろうか。
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