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精神・神経疾患とトランキライザー(精神安定剤)の誤解と偏見
【トランキライザー】
一般に精神安定剤と訳される。トランキライザーは、メジャートランキライザーとマイナートランキライザーに大別することができる。特に薬学の講義をするわけではないので、薬に対する詳しい話は避けておき、一括して精神安定剤ということで話を進めてゆきたい。
以下、内容は複雑ではないので、安心してご覧いただけたらと思う。また、看護師で精神科の職場の方がおれば、自分のところと比べてどうか想像しながら読み進めて頂きたい。
「あの人、薬(抗精神薬)飲んでたんやって」
「あの人、薬(抗精神薬)飲んでるんやろ」
「あの人、S(統合失調症の略称。ちなみに私はこの略称には矛盾を感じている)らしいで」
以前、精神科に勤務している時、よく耳にした言葉である。この3文だけで、なんとなくおわかりになる方もいらっしゃるかも知れないが、これは、同じ職場で働く看護師やヘルパーに対する言葉である。
当然のごとく、看護師も人間である。精神・神経疾患に罹った看護師もおれば、そのために抗精神薬を内服しているものもいる。ただ、その人たちが、職場で倒れたり、疾患を有しているとわかったら周囲の反応は冷たい。上記のような言葉で、噂が広まり、その人の人格が決定される。人格というよりも、烙印といいたいくらいだ。つまり、
※統合失調症の人
との烙印を押されるのである。看護師で、調子が悪そうな人を見、そしてそのような噂を聞くと、体調と仕事との関係の面で心配するのが当然のことだろうが、会話の中心はそうではない。突然、
「あの人、Sやってなぁ」から始まるのである。労うどころか、その病気であることを広め、烙印を押してまわっているような発展性のない会話である。しかも、問題は、その噂をしている看護師たちが、
◎現職、精神科の看護師である
ということ。最も理解を示すべき立場にある人間達がこのような状況にあるのはとても残念でならなかった。本書「精神科看護師、謀反」でも述べているが、精神科の看護師は、インセンティブに欠けた者が多い。自らの専門の科である精神科に対しても誤解している現状がある。しかも、問題はこれ一つではない。行為は一つであっても、問題は以下、
◎個人情報を平気で触れ回っている
という残念ながら看護師としてあるまじき行為を平気で行っている事にも当てはめることができよう。今は、刑法で定められているがその点は今回は触れないとしても、ある一定の人物が、精神疾患を有しているとか、抗精神薬を服用しているとかの話を広めて何がしたいのか。私からすれば、同じ職場であっても顔と名前も知らない他人の病気は、ある意味「どうでもいい」話である。それを面白おかしく広めている日常をよく目にするのだから、私が精神科の現状を危惧するのは当然だろう。