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厚労省の自殺防止キャンペーンは意味があるのか

投稿日:2011/11/30

今日は、うつ病と厚生労働省の自殺防止キャンペーンについて考えてみたいと思います。



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昨今、精神科疾患でも、とりわけうつ病の敷居が極端に下がってきたようだ。
「ツレがうつになりまして」
という映画も大きく影響してるのではないだろうか。



今回、問題提起してみたいのは、うつと自殺の関連である。
以前にも記事にしたことがあるが、

※うつ病そのものは日本の自殺の主たる要因ではない

ということである。



まず、うつ病の枠組みについて解説する。


我々が一般的に「うつ病」というのは、
・責任感が強い
・几帳面
・生真面目

そのような人がなるものであるといわれているもので
・不眠
・感情がわかない
・死にたい
・頭が回らない

等々さまざまな症状を呈するといわれている。
これらは、うつ病といわれているが、医学的には「大うつ病」と表現したりする。

ところが、最近これとはまた別のうつ病が増えているというのである。


新型うつ病、ディスチミア親和型うつ病、非定型うつ病、
他にも、薬剤性うつ病、甲状腺機能低下や更年期うつなどの内分泌性うつ、老年期うつや、発達障害の二次障害のうつ状態・・・

ここで注目してほしいのが、
特に、発達障害の二次障害であるうつ状態と
・新型うつ病、
・ディスチミア親和型うつ病、
・非定型うつ病、
これらの分類をどのようにしているのかということである。



うつ病については、それぞれの立場の学者がそれぞれの主張をしているため、診断名が一定していない。

このような診断概念拡大の懸念がある中、世間で議論されている者の多くは
「うつ病」という風に表現して
「大うつ病」
のみに終始して議論されているのである。


ちなみに、多くのうつのなかで大うつ病はほんの一握り。
今や稀な疾患となっているはずなのだが、いまだにうつ状態を見ると、単純に大うつ病と診断される傾向がある。




もうすこし具体的にうつについて解説してみる。
①非定型うつ病や、②ディスチミア親和型うつ病、③新型うつ病、
これらは、
・薬が効かない(効きにくい)
・自分でうつだといって主張する
・大うつ病の自罰的なものに対して他罰的である
(「あなたのせいでうつになったんだ!」など)
・仕事などはうつでいけないのに、好きなことには積極的に動くことができる。

①も②も③も診断名は違うのに特徴が同じなのである。

このようにうつの診断基準が曖昧であるにもかかわらず、うつの補助診断であるトポグラフィーは治療をさらに複雑にさせる(あくまでも補助診断だということだが、このトポグラフィーは、脳血流が低下しておればうつ病だというのだ。発達障害のうつの脳血流はどうなっているのかも教えてほしいくらいだ。)。

そもそも、
診断学が極めてあいまいな状況で、“うつは脳血流が低下している”ということをどうやって確定したのかも疑問だ。

また、非定型うつ病やディスチミア親和型うつ病、新型うつ病は、
薬が効きにくかったり、効きすぎたりして精神状態がブレたりする。
このような治療がうまくいかないうつ状態を見分けられず「大うつ病」だと診断してしまい結果的に、
※「難治性うつ病」
と捉えてしまうのである。


ここまでくれば、もう診断は無茶苦茶である。

このようにして診断が違えば治療もうまくいくはずがなく、抗うつ薬や抗不安薬、はたまた抗精神病薬がごちゃ混ぜに処方され、薬剤性精神病状態になる。
この状態をみて、統合失調症や境界性パーソナリティ障害などに診断名が変わっていく患者は少なくない。

初心でうつ病などと診断がついているのにいつの間にか統合失調症や境界性パーソナリティ障害などに病名が変わるのはこういうメカニズムなわけだ。

このような背景から、
治療がうまくいかないために漫然と抗うつ薬や抗不安薬を飲み続け、社会復帰できないという事態に陥る。



ここで、話を元に戻そう。
日本の自殺者の問題だ。
日本の1年間の自殺者数が3万人で横ばいという事実に着目してほしい。

その6割が健康問題、つまり何らかの病気が苦で、あるいはその疾患に影響されて自殺したというのが警察庁の報告である。

しかも、
健康問題の6割の中の内訳のほとんどがうつ病だというのだ。
うつ病と診断がついているということは、治療中の自殺と解釈できる。
その次が統合失調症。

この数字をどのようにみればいいのか。
うつ病とは、どのうつ病なのか。どのうつ病でも自殺率は同じなのか。

大うつ病で自殺に至ってしまうケースもあるにはあるだろうが、それが自殺の大半を占めているとも思えない。


うつ病と診断がついて自殺した人の背景を考察してみると
・うつと診断されたが、治療がうまくいかず、心身ともに苦痛から解放されず自殺する。
・薬剤性(SSRIなどのに代表される抗うつ薬、その他の向精神薬による)に自殺願望が惹起され自殺してしまう。
・薬剤性に衝動性がまし、思わぬ行動に出た結果自殺という形で亡くなられてしまう。
・大うつ病そのものの症状として行動化(自殺)してしまう。


このように考えれば、国や地方自治体が税金を大量に投入して早期受診・自殺予防キャンペーンを打つことがいかに効率の悪いことかがわかる。


そして、その理屈から

早期受診・自殺防止キャンペーン(税金を大量投入)

誤診・誤処方で患者数増(医療費の増大)

自殺者の減少見られず(3万人の自殺は経済損失大)


このような図式が成り立つ。

だから、自殺の主たる要因はうつ病などと特定できるわはなく、
その原因はもっと別のところにあるはずなのだ。







ただ、地域での自殺予防の取り組みを否定しているわけではなく、それ自体はたいへん貴重な活動であることはここで述べておきたい。







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