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やはり統合失調症はsyndromeの可能性 ―抗NMDA受容体脳炎との関連―
最近は、アウトプットばかりでインプットする時間がない。 ゆっくりと読書でもしたいところですが・・・。 さて、さっそく本題へ。
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私は、以前から統合失調症はsyndromeの可能性が高いと言ってきた。
ここでいうsyndromeとは、症状は類似(幻覚・妄想など)しているが、原因が違うさまざまな病態を含む概念を指す。
以下に統合失調症と間違われやすいものを箇条書きにしてみた。
・発達障害の神経過敏から様々な神経症状、精神病状態が起こされる、いわゆる二次障害(スペクトラムという概念がベースにある)。
・自己免疫疾患等の一部。例えば甲状腺機能の異常(バセドーや橋本病)。
・薬剤性の精神病状態(最初はうつ状態として治療を始めるが、多剤併用の末、薬剤性に幻覚や妄想が出現し、いつのまにか統合失調症に診断名が変わっているというもの)。
・解離性障害。
・ドラッグによるもの
・更年期や周期性精神病等のホルモン異常
他にも、いろいろあるだろうが、このようなもののスクリーニングが十分になされず、“幻覚や妄想があれば統合失調症”と診断されているケースはまだまだ多い。
そして今回、統合失調症と類似の症状を示す特筆すべき
抗NMDA受容体脳炎
というものがある。
脳炎の一種であるが、近年ようやく診断概念が確立されつつあるものである。
これも、統合失調症と間違えやすい症状を見せる。
(特徴としては女性に多く、卵巣奇形腫の合併が6割ほどと言われている。)
しかし、この疾患を記述している文献の多くは、精神症状のほか痙攣や呼吸抑制がかかるケースが少なくないとしている。
その症状をみると、そこだけで“統合失調症ではない”と判断できそうだが―
そうではない。
もし、抗NMDA受容体脳炎の軽症例が存在(呼吸抑制や痙攣等の症状を見せない)するとすれば、統合失調症と判別がつかないまま精神科で治療を継続しているケースがあるのではないかということが推測されないだろうか。
つまり、抗NMDA受容体脳炎と診断されて研究論文に上がっているケースはレアケースであって、軽症の抗NMDA受容体脳炎が潜在的に沢山いるのではないかという私見である。
そう考えると、統合失調症と診断されてきたケースの相当数が抗NMDA受容体脳炎や、冒頭に挙げた統合失調症と類似の症状を呈するものに該当する可能性があるとはいえないだろうか。
生涯罹患率0.85%(ざっとみて100人に1人)と言われてきた統合失調症の概念は、もはやあてにならなくなってきている。
ここまで明確になっているのに、統合失調症という診断概念がいまだに根強く残っているのは、医学研究の構造の、なにかもっと根本的な、人間の心理構造の中に問題がありそうな気がするが。
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