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一歩踏み出した病院の株式化
先月29日、横浜市で日本初の株式会社経営としてのクリニックが開業された。私は、以前から病院の株式化については、本書「精神科看護師、謀反」でも大げさなほどに、看護改革の一環として触れてきた。株式化の長所は、ご覧の通り。資本調達により、高額医療機器の導入が可能となる。将来上場することが可能となれば、さらに病院経営の流動化は進み、優れた経営者の選出も可能となる。同時に、いままで無能とされていた経営者は堕落していくことになり、良質の医療が提供できることになるだろう。
株式会社になれば、不祥事は致命傷。つまり、病院でいう医療過誤に相当する事象である。株式化するだけで、医療事故は激減し、医療の質は劇的に向上する。ただ、忘れてはならないのは株式化することで生じる短所だ。株式化されれば、投資家の資本を募るわけであるから、経営者側も血眼(ちまなこ)になる。そこで、粉飾決算や医療事故の隠蔽が増えるのではないかということだ。もちろん、新しいことを導入するとなるとマイナス面も浮き上がってくるのは承知の上。そこで、予め予想されることへの対応は怠ってはならない。必ず大きな問題となる。さらに、株式化することで地域の医療バランスは完全に崩れるはず。この点も考慮して考えていかなければならない。また逆に長所として、今問題となっている産科医や小児科医の不足の問題にも歯止めがかかるかもしれない。今流行のIT企業が参入すれば、医療技術の進歩はさらに劇的に進むだろう。病院の株式化は沢山の問題を抱えていると同時に、無限大の可能性を秘めている。
私は、この“病院の株式化”というものにはかなりの期待を持っている。だからこそ、問題点をさらにあぶり長所としての“可能性”も見出し医療の方向性を夢としてではなく、現実のものとして考えてゆきたいのである。
最後までご閲覧いただきありがとうございます。拙著本「精神科看護師、謀反」も看護の参考にしていただければ幸いです。