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看護改革の際に陥る問題点

投稿日:2006/09/09

看護改革の際、陥りやすい問題点。それは、

※ペーパーワークの増加

である。

日本医療評価機構の浸透に伴い、評価を得ようとする病院はそれにしたがい各委員会を設置してきた。

・褥瘡委員会
・院内感染対策委員会
・セクハラ委員会
・業務改善委員会
・看護計画推進委員会
・NST委員会
・行動制限最小化委員会

各病院には他にも色々あるだろうが、これら委員会がそのペーパーワークを増加させたといっても過言ではない。

機能評価がなされるようになった事が、看護水準の底上げに貢献した事は素直に評価せねばならない。しかし、それだけでは、看護改革という視点からは一定の評価しか出来ない。業務の圧迫が看護師を弱らせているのである。ある程度看護の底上げが浸透した後は、業務の効率化に取り組まなければならない。

看護改革の際、評価されるべきは看護の質の底上げに次いで、看護業務の効率化である。各委員会の立ち上げで、各分野が専門的に深められるのは必要な事であるし、否定もしない。だが、これでは“果たして本当に看護の底上げの結果、看護の質が上がったのか”という疑問にはyesとはいえないままだ。

各委員会の立ち上げで、各分野が専門的に追求されるようになり、看護レベルがあがったという事実があったとしても、それは一時的なものに過ぎない。ペーパーワークが増加し、看護師の実質的な業務時間が増加したのであれば、今までしていた“看護行為”の何かが圧迫されてしまうようになったという事実は否めなくなる。

※日本医療機能評価機構等々が求めているであろう分野の質の向上が見られても、その分、看護のどこかが犠牲になっている。また、その犠牲も改善されていない分野が多い。

その背景には、業務の効率化を甘く見ている法人・管理職・中間管理職、そして、看護師たちがいるという事実もある。

・チェック機能を増やす為に、チェックシートを作る。
・所在の確認を明確にするために業務ごとにサインや印鑑をつく。
・間違えにくいようにする為に、色分けしたり目印をつけたりする。

色々な提案で、ミスなどを予防するのはよい事だが、それらが積もり積もると実質的な“業務の圧迫”が慢性的に押し寄せてくるという危機感を持っている者は少ない。

業務の圧迫は、全ての看護業務を疎かにする。各委員会の立ち上げとレベルの向上、そして、チェックリストなどを増やしたなら、その分、相当な業務の効率化を目指す努力をしなければならない。
業務の効率化は、他の看護レベル向上の為のどのような手段にも勝る要素を持っている。
業務の効率化をなす事が出来れば、

①病院経営にもやさしい
②看護の質を“少なくとも”維持する事が出来
③委員会にあるように、各分野の専門性を高める事が出来る

のである。①~③は、どれも重要なものであり、どれが欠けてもそれぞれのは安定しない。

最後に、効率化を目指す際に看護の質が落ちるような事だけは避けなくてはならないという言葉を添えておく。


次回は、業務改善のポイントを述べたいと思う。

最後までご閲覧いただきありがとうございます。拙著本「精神科看護師、謀反」も看護の参考にしていただければ幸いです。