スタッフ教育

経験・実績の豊富な看護師が、トラウマ・インフォームドケア(TIC)という考え方を軸に教育を行っています。

『トラウマ・インフォームドケア(TIC)とはなんでしょうか』

TICとはなにか。簡単に説明しましょう。

 TICとは、トラウマをよく理解(熟知)したケアと訳されます。欧米では、TICという概念は比較的早くから認識・実践されていますが、日本ではまだまだその理解が十分ではありません。
 こころの病を抱えておられる方の80%以上は、過去になんらかの(本人にとっては非常につらい体験)トラウマを抱えていると言われています。トラウマと聞くと、大災害や交通事故など(のPTSD)を思い浮かべるかもしれません。しかし、トラウマは、それのみにとどまりません。虐待やいじめ、不登校をはじめとしたひきこもりの方への登校・外出刺激など、持続的・継続的・長期間に及ぶトラウマ体験(複雑性PTSD)も後のこころの病と関連すると言われています。そのような方々に対して、看護者はTICを意識してかかわらなくてはなりません。つまり、質の高いケアを提供するためには、看護者自身がトラウマの理解を十分に深めておく必要があるわけです。

トラウマ・インフォームドケア(Trauma-Informed Care:TIC)に関する文献

  1. 1)川野雅資:トラウマ・インフォームドケア.精神看護出版,2018.
  2. 2)SAMHSA’s Trauma and Justice Strategic Initiatives:SAMHSA’s Trauma and Guidance for a Trauma-Informed Approach, July, 2014.http://traumainformedcareproject.org/ (2019.7.9最終閲覧)
  3. 3)日本精神科救急学会監修,平田豊明,杉山直也編集:精神科救急ガイドライン 2015年版.https://www.jaep.jp/gl/2015_all.pdf(2019.7.9最終閲覧)
  4. 4)Kim T. Mueser,LisaB.Goodman,Susan L.Trumbetta,Stanley D.Rosenberg,Fred C.Osher,Robert Vidaver,Patricia Anciello,and David W.Foy:Trauma and Posttraumatic Stress Disorder in Severe Mental Illness,Journal of Consulting and Clinical Psychology 66,p.493-499,1998.
  5. 5)田邉友也:スタッフ間でのTICが組織を変える TICを通じた病院・病棟の変化を活写する.精神科看護,45(12),p.30-34,2018.
    *文献4)は重篤な精神障がい者で入院治療を受けている患者と地域医療サービスを受けている外来患者のトラウマ体験に関する研究である。

『トラウマ・インフォームドケア(TIC)を通じた質の高い看護を実践します』

では、具体的にTICを意識したかかわりとはどのようなものでしょうか。

 それは、治療的看護介入としての、ケアの受け手に中立的で・批判的でない言葉遣い、ケアの受け手の意見を尊重する、ケアの受け手の考えや要望を尊重して治療・看護の方法をきめる、ケアの受け手の決定を尊重する、といった技法です。普段から誰もがやっているようなかかわり方に感じるかもしれませんが、TICを理解(熟知)したうえでのこれらの技法を駆使することは、非常にむずかしいものです。
 いしずえは、TICを軸にスタッフ教育を行い、訪問看護の対象者に質の高い看護を提供します。

『どの医療分野にも対応できる系統だった教育』

訪問看護スタッフを対象に、質の高い看護につながる教育プログラムを提供しています。

 より実践的な精神科看護の学習、身体ケア(手順・手技等を含むフィジカルイグザミネーション)、身体疾患の理解・観察(フィジカルアセスメントを含む)、メンタルステータスイグザミネーション、医師やコメディカル・地域との連携の視点、さらには、精神科薬物療法の看護(「薬をいかに飲んでもらうか」、という視点ではありません)など、ケアの受け手を最大限の回復に導くための包括的な看護教育を行っています。それぞれの学習段階に合わせた教育体系を考えて提供していきますので、着実に看護の実践力が身につきます。
※教育は、基本的には勤務時間中に行います。出張扱いで、研修に出向いてもらうことも検討中です。