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精神科医療問題は、デフレ・TPP問題と同様に財政に大きく影響する。
デフレ時に増税は意味がない。TPPは供給量が増えるだけでデフレギャップが広がる。この話は、京大教授 藤井聡氏の説明が何よりも説得力がある。増税することは逆にGDPの低下を招くこともよくわかった。どの専門家、政治家よりもわかりやすい。日銀問題においては上念司氏の説明に納得がいく。 今日は、国家財政を支えるのにそれに匹敵するほど重要な話をしたい。
以前、blogで精神科医療改革を行うことが日本の国家財政の安定につながることは簡単に述べた。
精神科の誤診と多剤併用療法が、無駄な医療費を生むということ。
誤診で病気がよくならないから治療を受け続ける。
最近、ようやく学会や論文で診断概念が変わるかもしれないと言っている偉いさんがちらほら出てきたが、まだまだ着眼点がずれている。言いたいことはたくさんあるが、ひとまず今日は、以下、最先端の精神科医学研究の一部の視点のズレに触れてみたい。
・光トポグラフィー
・脳血流診断
・疾患と遺伝子の研究
まず、診断についての考え方を説明する。
精神科における診断の決定は、他の疾患同様、症状が当てはまるかによって診断名が決められる。
そもそも、それが落とし穴で、診断名というのは人間が症状をもとに“こういう診断にしよう”と勝手に枠を決めただけのものなのである。
たとえば、精神科における幻聴で考えてみてほしい。
まだまだ未解明であるが、幻聴一つにしても脳のどの部分がこうなるからなど、脳の1箇所が1つの原因でなっているとは到底言い難い。幻聴一つにしても異常を起こす部位や原因は複合的であるということだ。
また、うつ病や統合失調症、解離性障害、パニック障害、躁うつ病、強迫性障害、発達障害の二次障害など、あらゆる疾患概念は症状がオーバーラップ(症状が重なっている)しているものが多いため、今の診断概念は極めて不安定なものであることも知っておいていただきたい。
そのような状況の診断概念を光トポグラフィーや脳血流などで診断することなど到底不可能であり、余計に誤診を生むだけなのである(ちなみに開発者は、トポグラフィーなどは補助診断と言っているが、診断の補助にもならず診断が混乱するだけ。診断概念を理解していない人間が研究をした結果である)。まずは、診断概念がある程度しっかり議論されてから脳血流を研究すべきである。
遺伝子研究にしても然り。2大疾患と言われてきた統合失調症と躁うつ病の遺伝的つながりがあることがわかったと半年ほど前に大々的に報じられたが、先に述べたように人間が勝手に考えた診断枠のなかで遺伝子を調べても、一部の遺伝子が重なってくるのは至極当然のことなのである。人間が考えた診断枠であるから、それぞれの疾患の症状はオーバーラップしている。つまり、一部ではあるが遺伝的にも同じ異常があるのは当然である。
だから、遺伝的つながりがあるのではなく、一部同じで当然であるということだ。
このように、先進医療でさえ的が外れているのだから、精神科医療がいかに確立されていないのかというのがわかる。
そして、これらの検査で、例えばうつ病であると診断された場合、どうなるか。薬の効かないうつ病として非定型うつ病や新型うつ病、ディスチミア親和型うつ病、あるいは難治性うつ病とされるケースが出てくるのである。ただの“誤診なのに”である。
この視点のずれが、日本の経済に大きく影響していることに政治家はもっと早く気づかなければならない。
誤診・誤処方が生む連鎖を説明したい。
誤診・誤処方は、多剤併用や症状が軽快しないことにつながり、患者は社会復帰ができなくなる。これだけでも、薬価が医療費としてかさみ、社会復帰できなければ国の生産性が落ちるという現象が生じる。
そして、社会復帰できないだけではなく、入院を余儀なくされるケースもあるわけであるから、さらに医療費はかさむ。そして、当然のごとく生活保護費や医療費を含む社会保障費が莫大に膨れ上がっていく。これが今の日本の現状である。
さらに、このような治療難で苦しんだ挙句、自殺してしまう。それに対する自殺防止キャンペーンとして税金を投入する。自殺者は“一向に減らないのに”である。
このように、医療費の問題と生産性の低下と自殺者が3万人規模で続くこと、それらを予防するための無駄な自殺防止キャンペーンは、最悪なスパイラルを生んでいるのである。
このあたりの問題に水を差すと、かなり責められるが、では自殺は減っているのかというと減っていない。23年度の自殺者数は2000人ほど減ったが、その半分は経済的問題、残りの半分が健康問題だという。「うつ病早期受診、自殺防止キャンペーンで1000人も減ってるじゃないかとめでたしめでたし」といって目を輝かせている人間もいるかもしれないが、100億円以上も使って、それが1000人減らしたという根拠にもなっていないのに、いかに税金の無駄遣いであるかということを知っていただきたい。命の数字を軽く述べられているようには思われたくないが、1000人ほどの自殺者数を減らすのに100億円以上かかってもキャンペーンのおかげで減ったという根拠が示されていないのに、まだ的外れの税金投入を続けるのか。
自殺者数の減少を国家運営に例えると、感情のみで生きている人間は、否定的に捉える。
冷静に考えてほしいが、血税を無駄に使うということは、国が貧しくなることを意味する。その結果、間接的に自殺を誘発したり、医療などの質の低下につながるとしたら、助かる命も助からなくなるという意味で税金は丁寧に使う必要があるのだ。だから、税金は慎重に使うべきと言っているのである。
警察庁によると、自殺の一番の理由が健康問題だという。そのなかでも、うつ病がそのほとんどを占めており、次に統合失調症だというのだ。
うつ病で自殺をしたということは、つまり、診断を受けていたということ。精神科・心療内科を受診していたということになる。その人間が治療を始めてから自殺をしたということは、うつ病が治らなかったか、あるいは悪化した末の自殺ということになる。
これは、診断概念の曖昧さからおきた誤診と誤処方の結果、さまざまな理由で自殺が誘発されているとは言えないだろうか。
自殺を減らすという視点に相違はないが、自殺を減らすための方法論と問題に目を向ける着眼点が大いにずれているということになる。的外れもいいところだ。
多くの専門家・教授などは、それぞれの疾患概念のなかで専門家として詳しいだけで社会情勢やそのほかの疾患との関連や薬物療法の問題など幅広く考えられる専門家は決して多くはない。
この問題について、反論のある専門家と議論したいものだ。
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