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看護師に求められる要素

投稿日:2007/06/15

着々と準備が進んでおり、あわただしさがある中、看護師として働いている現場で考えさせられる事があったので、ここに残しておきたいと思います。

 看護師に求められる要素は、あらゆる書物で、さまざまな角度から色々な表現で述べられているが、私なりの見解を残しておきたい。

看護師に求められる要素。それは、端的に

※看護師として必要な能力

と捉えて差し支えないだろう。そう考えると、まず最低限必要なものに、

①看護師としてのマクロ的(肉眼的)技術

が挙げられる。これは、基本的には身に付けば付くほど邪魔になるものはなく、これから述べる能力に付加して看護師としての能力にシナジー(相乗効果)的に作用する要素であるといえる。
 マクロ的技術とは、肉眼的と表現しているように、精神科には精神科の、外科病棟には外科病棟の、ICUにはICU独特の知識と技術がある。これらのことを言っているのだが、精神科に勤務していても、また、ICUに勤務していても、その他の技術があるからといって邪魔になることはなく、むしろ広い視野で思考する事が出来、その技術が、役に立つ事もある。もちろん、その視野の広さが仇となって、当該病棟のstaffと折り合いが付かず、チーム医療が遂行できないということもないことはない。しかし、これは、マクロ的技術が豊富だから起こった問題ではなく、またべつの“看護師としての要素”が欠けているからであることをまずは理解して欲しい。ここで“欠けている”と表現しているものの、誰しもどこかの能力はあったりなかったりするものであることも同時に理解しおいて欲しい。

次に、
②継続して勤務する事の出来る体力と精神力

これは、ごく基本的なことであるが、これが欠けてしまえば、信頼を損ねたりする事もあるし、一つの技術を磨く事の弊害となることは明白。また、これが物事の“持続力”に大きな影響を及ぼし、多少の能力の問題もカバーする事が出来る。ここでも誤解のないように説明しておく必要があろう。能力の問題は、多少を問わず誰しもがもっている。つまり、2と能力は双方が相対的に成り立っていることを意味していることを理解していただけるだろうか。

③指揮・監督能力、またはそれを考察する冷静な能力
指揮・監督する能力は、プリセプターやナーシングチームのリーダーなど、管理職でなくとも必要である事は周知の事実であるが、仮に新人であってもそれは必要である。そこで求められるのが、指揮・監督能力の冷静な考察力である。指揮・監督しているものの難しさは、その立場に立った人間が一番よく理解している。その立場にたった事のない人間は、当たったか当らずかは関係なく、好き放題注文をつける。そこで、一度振り返ってもらいたいのが、冷静に考察する能力である。少なくとも、一定の役職についている人間は、何かの部分で目立っているから抜擢されたのであって、全く無能であるというわけではない。世間からいえば、無能とされる者が役職についていると疑問視される事も多いが、これら、必要とされる能力のどれかが経営者の目にとまり出世できたのであるから、その点は見習うべきであろうし、ここを冷静に理解する必要があるところである。もし、評価される点が間違っていても個人を恨むのではなく、その企業体を冷静に評価すればよいだけの話である。
  
④チームを中心とした意識を持つ
 “私だけ動いているのに”
“これほど忙しいのに何故、あなた達は、そこで手をとめて話をしているのだろうか”
このように、色々と思ったことはないだろうか。これは、自分自身が中心となっているために現れてくる発想である。変化を求めなければ、このような感情は、おおよそどの場面でも浮き出てくる。作業効率の良いスタッフであれば、尚更であろう。これは、個人プレーとしては、せかせかと業務をこなしており、一部としては評価されても良いが、チームプレーとしては評価されがたい。この詳細を見極めて評価できる管理者がどれだけいるかというのも疑問であるが、そこは置いておくとして、まずは、我々一個人の意識の改革を重要としなければならない。
 
※まずは、一見動いていない様に見えるスタッフは、どのように優先順位を考えているかを、相手の立場になって、長時間考えてみる。

このことが重要となってくる。その時は、業務に忙しく、考える時間もないだろうが、家に帰ってゆっくり相手の立場になって考えてみれば、少しは状況が把握できてくる事もある。逆に、自分自身が、その立場になり、そう見られてるとはしらずに平然と業務をしているときもあることにも気付くだろう。
 そこで、期待されたような答えが出なかったとしても、固定観念を持ってはいけない。そこで、周りが見えなくなっている人間をどのように業務に導けばよいかを考えればよい。さらに、自分自身が業務をおこなっていることの正当性をあわせて評価し、相手の当番や役割分の立場も合わせて冷静に見てみる必要があろう。最終的には、業務に導けない自分への評価、そして、自分は仕事が出来ているという自己陶酔への評価もしてみると良いかも知れない。
 ここに、自分がチーム医療を育むという事の意識と、相手をチーム医療に引き込むという意識の相補関係が成り立つ。

⑤ヒューマンエラーに関して、システム上のフォローに加えて人的フォローを忘れてはならない。
 システム上のフォローとは、書類、事務的な処理、管理職からのフォローの事。人的フォローとは、その後の個人的フォローをいう。管理職の人間が、個人的フォローに回れば、これは、人的フォローともなり得ることはいうまでもない。
 ヒューマンエラーは、確実におこり得る。医療においては、人命に直結することも少なくない事から、許されがたいものとされているが、ヒューマンエラーをゼロにすることは不可能である事は世間にも理解されているところであり、そこには大きな拮抗関係が生じている。ただし、ヒューマンエラーを限りなくゼロに近づける努力は惜しんではならず、その努力の一環としてのシステム上のフォローと、人的フォローは、双方重要なウェイとを占める。
相手のミスを責め立てたり、見つけて指摘し、放置するだけの事であるなら、自己満足の域を超えない。ミスの指摘から、共同してミスに対して見つめあうことが最も求められている事であり、同時にこれは、4で述べたようなチーム医療に大きな影響を及ぼす事項であることも理解されたい。

以上、

①看護師としてのマクロ的(肉眼的)技術
②継続して勤務する事の出来る体力と精神力
③指揮・監督能力、またはそれを考察する冷静な能力
④チームを中心とした意識を持つ
⑤ヒューマンエラーに関して、システム上のフォローに加えて人的フォローを忘れてはならない。

という①~⑤の要素を、まずは強烈に意識してみる事を目標に1年取り組んでみてほしい。1年後には、自分のキャパシティの変化に気付ければ儲け物というもの。またその頃には次の課題が明確になり、看護師としてだけではなく、“人間として”の大きなステップを踏む事になる。




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なかなか粋なHPですよ。・・・ですが、重いので、結構なスペックがいるかもしれません。覚悟してごらんアレ。




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