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術後せん妄と身体拘束
術後せん妄
原因は様々な要因を言われるが、実際のところ極度の環境の変化と術後副作用・手術による身体への極度の負担がその主たるところであろう。せん妄に対する薬物療法も加えて説明したいが、説明が長くなるので、今日はせん妄状態にある患者の身体拘束について述べてみたいと思う。
術後は、当然のことながら点滴ルートや腹腔内ドレーンなどチューブ類が留置されていることが多い。術後にせん妄が起きると、それらのルートを引き抜いたり、ベッドがから降りようとするなど、ルートトラブルが避けられない。その予防策として、身体抑制(身体拘束)があげられる。
精神科では、身体の拘束は今やナーバスになっている。法外な拘束を闇で実施する看護師は別として、拘束の実施に関してはDr.の指示を要する(72時間以内であれば、精神保健指定医でなくてもそれは可能である)。また、実施に際した複写(実施患者への手渡し用)の書類も存在する
術後せん妄の起こりうる外科病棟ではどうだろう。どの病院云々なく、精神科ほど細かく規定・実施されてはいないのではないだろうか。恐ろしいのが、ルートを乱す患者に対して“ミトン”と称した袋のようなものを患者の手に被せてくくりつけることだ(もちろん精神科でも同じ事はあった)。人間の行動を抑制するこの行為を“ミトン”とカタカナにするだけでここまでイメージが変わるのかと、言葉の恐ろしさを感じる。
※事故を防ぐ為に仕方が無い
外科病棟でも、身体拘束に関してこの概念を唱える看護師がいるが、この考えであれば精神科の患者のほとんどは身体拘束をされてしまうことになってしまうだろう。
身体の拘束が、人権というものを最も抑制してしまうものであるとするならば、術後のせん妄であっても容易な拘束は許されない。容易に実施などしていないというのであれば、まず、身体拘束の手続きを確実に行ってから実施することだ。
また、向精神薬の併用と調節も必要になってくる。
※身体の拘束を“人権を脅かすものとなりかねない”というのであれば、外科病棟(精神科病院ではないからという言い訳)には豊富な種類の向精神薬の在庫が無いという安易な言い訳は許されるわけが無い。
精神科と他科との情報交換がなされていない医療・看護の欠陥はこのようなところにも存在したのだ。
精神科を中心に、人権や隔離・身体拘束に関してここまで議論され進歩したきた折角の現状も、他科ではほとんど繁栄されていない。これは精神科の個人病院が、自らの病院の評価だけを上げたいという短絡的な“利益主義”にある。精神科だけに原因を押し付けることは、議論を粗雑化させるので避けなければならないが、他科からの技術の情報収集を行わないという怠慢と、技術を外部へ情報提供しないとう精神科独特の“利益主義”は、残念ながら存在する。これは、今までにも述べた“精神科単価の、数々の無能な経営者のなせる業”といえよう。
ここに再度、病院の株式化を少しでも早く実施するよう法案検討の具現化を推奨する。
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