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そろそろ精神科診断概念の再構築に取り掛かるべき。~統合失調症はsyndromeへ~

投稿日:2012/03/30

久々にブログを書きますが、当法人のホームページがいまだに復旧いたしません。相談業務をやめたわけではないのですが。 今日は、統合失調症を含む精神科の診断概念についてお話ししたいと思います。



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精神科の診断概念はかなり昔にさかのぼる。

早発性痴呆を提唱したクレペリン
統合失調症の概念を提唱したブロイラー

そろそろ、この診断概念に疑問をもつ人が増えてきた。




各種学会でも、統合失調症と躁うつ病の異常な遺伝子がオーバーラップしているという研究(だから、統合失調症という診断名がなくなるのではないかという考え)や、アルコール依存は重複障害であるとか、うつ病はパースペクティブ的視点(うつの診断概念拡大の懸念)でとらえなければならないとか―

各学会でいろいろなことを言っているが、たしかに、その違和感は当たっているとおもう。だが、それを論じるとき発達障害の視点がない以上、この先まだもう少し診断概念にごたつきが生じ、結果、誤診誤処方はまだまだ続くように思う。



各学会の捉え方は残念ながら的を射てないのであるが、一つずつ簡単に説明したい。


統合失調症と躁うつ病の異常な遺伝的つながりがあるというのは、これは、統合失調症と躁うつ病にかぎらず、パニック障害や解離性障害、強迫性障害そのほか神経症も大なり小なり遺伝的つながりがあるはずなのである。


これまで精神科においても診断は、症候学でなされてきたわけであるが、症候学はあくまでもこの時代に人間が自分たちの社会的不都合で枠をきめて、統合失調症という枠、うつ病という枠、解離性障害、パニック障害、強迫性障害・・いろいろと都合のいい枠を定義づけてきたのである。

だから、これらの症状は多かれ少なかれオーバーラップするのは当然なのである。
統合失調症と診断を受けても、解離様症状、パニック発作的なもの、強迫行為などを見せる患者も少なくない。これを私は誤診というのだが、一般的には、統合失調症とほかの疾患の併発という風にとらえているようだ。

そのような患者は、誤診であるから薬物療法もうまくいくはずがなく、長年無意味な沢山の薬を飲み続けることになる。


うつ病についても話をしてみたい。
うつ病は、非定型うつ、新型うつ、ディスチミア親和型うつ、少なくともこの3つはほぼ同じ概念と言ってもおかしくない。さらに、大うつ病、気分循環性障害、甲状腺異常や性ホルモンそのほかのホルモン異常によるうつ(内分泌性うつと私は言っている)、薬剤性に惹起されるうつなど様々。

スクリーニングとして、甲状腺の機能検査3項目に加えて抗体検査3項目は必須(前者3項目もしない医師が少なくない)。

また、炭酸リチウムにより、甲状腺機能が低下することもあるということを知らぬまま治療しているものもいる。

うつ病にも妄想を呈するものは少なくないし、甲状腺の機能異常(橋下病やバセドウ、甲状腺機能低下症等)で、うつだけではなく、幻覚や妄想を呈すことも十分あり得る。

そして、これは文献にもほとんどないはずだが、発達障害の傾向の強い人間は、自己免疫疾患を併せ持っている傾向が強いということ。



これらを総合すると、ベースに神経過敏(つまり、発達障害)があり、より神経過敏(発達障害の傾向が強い人)な人は、同じストレスであってもこれらの病気を発症しやすいというとらえ方がひとまずの結論になる。


ここに、育てにくさなどから生じる虐待などがくわわって、解離性障害などが複雑に絡みあう。これも、統合失調症と誤診されやすい。




これらのことから考えると、統合失調症と躁うつ病の遺伝的つながりではなく、発達障害の傾向の強い人間が、その遺伝子を多く持ち、オーバーラップする。症状も同じようにオーバーラップし、家庭環境、発育歴などによってそれら症状の発症のリスクが高まる。


さらに重要なのは、発達障害は遺伝するものであるから、家族でそのような症状を発症しやすい。これを、統合失調症の遺伝研究と混同されてしまっている現状があることは知っておかなければならない。



さらに、ARMSや不登校の問題は、子どもの脳の発達の視点からさらに複雑な知識が必要になる。これを、早期介入として単に薬物療法を始めるのは言語道断である。

今の流行で、子どもの人生や一人の人間の人生を簡単に棒に振ってはならない。



私は、共著:精神科セカンドオピニオン2で統合失調症の障害罹患率は0.85%(100人に一人)ではなく、1000人に1人以下、あるいはこの診断自体がないのではないかと言ってきた。その考えは今でも一貫して変わらず、むしろ統合失調症は、発達障害(神経過敏)をベースとした、各神経・精神疾患のsyndromeではないかという持論だ。


いまこそ、公なところで各専門家が議論し、立場を顧みず、人1人の人生に真摯に向き合う時期に来ているのではないか。









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