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患者を“自分勝手”と表現する医療従事者

投稿日:2006/10/19

 看護記録で、

「自己中心的な訴えが多い」
「自分勝手な言動を繰り返す」

等々の文字を目にした事がある。これは、看護記録でどのような訴えがあったかを書いたものであろうが、これを見る限り、その医療従事者が患者に対してどのような眼でみているのかが、すぐにわかる。

自分勝手とは何なのか。自己中心的とはどのような事を指すのか。

 看護記録では、実際のところ患者の発言や行動そのものを書く事が一番わかりやすく問題が無いのだが、実際は、沢山の患者の一言一言を覚えて記録に残すとなると難しいものがある。よって、特に問題視される内容や変化があった患者に関して記録する事が多い。
 その中で、冒頭にあげたような表現がよく出てくるのだが、例えば、自分勝手とは、どのようなものを言うのだろうか。よくよくその状況を聞いてみると、誰でもその立場になれば強く要求したくなったりする内容であったりする事が多い。

看護者が患者に対して「自己中心的」とか「自分勝手」と表現する裏側には、その看護者がどのような視点で患者を見ているかが推察できる。

※自己中心的という表現は、第三者の主観的表現であり、第三者、つまり、状況を見た看護者側の一方的な解釈に過ぎない。

精神科疾患を有する患者は、治療場面において様々な規制を受けて生活せざるを得ない状況がある。その環境の中で、実現不可能な要求を“自分勝手”と表現されては、患者もたまらないだろう。他の状況においても、疾患がその判断力や理性を鈍らせているために起こした行動であると考えれば、必然的に“自分勝手”という言葉は出なくなるはずである。

看護者を含む医療従事者は、もっと患者の疾患理解に努めて患者と接するべきである。