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-鍼灸の針が首に残って取れない(エピソード2)-

投稿日:2008/10/20

本日、首の抜糸をしてきましたがやはり過剰な凝りや痛みが続いてます。仕方がないと言えばないのですが。で、今日は話の続きで2話目をまとめましたのでどうぞ



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紹介先の病院は、循環器のオペで有名な病院。我が子(長男)が生後すぐ、急性細気管支炎で入院しその年を越したのを覚えている。

近隣で成形外科や形成外科で有名なところもなく、唯一この病院のDr.が個人的に信頼できる所であったという理由もあって紹介先をこの病院にしてもらった。

医療業界というものは、精神科に限らず極めて狭い世界で、この病院だけに限っての話でも、看護学校時代に授業に来ていたDr.がいたり、高校時代の同級生が看護師になっていたり、担当の看護師の姉さんが私の看護学校の1つ先輩だったり、当時の学生の指導者が看護部長として働いていたり、さらには知り合いの義理の弟が病院長(これに関してはお互い他人なわけであるが)であったりと・・・

このあと、術後みじめな姿になるとは想像もせず、看護師として入院することが逆に楽しみとなり、わくわくしながら入院することになるのである。


そして、鍼灸院の事務の人たちと、心配になっている妻と子と私とで外来を受診、
外来で診てもらった先生が退院後まで主治医になるわけだが、それはもう穏やかな先生。ベテランで不安にさせない空気がある。

受診時に全身麻酔で針を取らなければならないとの説明を受けるが、さほど不安には思わなかった。この日から4日ほど後にオペが予定された。


・・・帰っていろいろ考えた。そう、手術まで数日もあれば余計なことも考えてしまう。

・全身麻酔でそのまま死ぬんじゃないだろうか
・手術までに針が動かないだろうか。
・針が折れたら、さらに摘出が困難になり頸椎の神経を触るところまで掘り下げなくてはならなくなるのではないだろうか。


主治医によると、
「針を探すのは砂利の中の針を探すようなもの。だから、見つかれば簡単な手術だが、時間がかかる可能性がある。リスクと言えばその時間と出血の問題だ。」と


私の心配ごとを読んで笑うかもしれないが、これまでの私ならこの程度の手術、いやそれ以上の手術であっても患者には理論的に安心であるということが分かっている以上、患者もそれほど不安でないと思ってしまっていた。
ところが、手術を受ける側となってしまった私は、

・事故は何万分の一の確率であっても、その何万分の一の事故の当事者になるのではないだろうか

このように考えしまっていた。

頸部の深部で切鍼というケースも多くないのでより不安になる。手術日まで考えれば考えるほど不安が募った。
入院当日、大きな不安を抱えたまま入院。鍼灸院側の人たちも気を遣うって何度も足を運んでくれる。何度も何度も頭を下げてくれる。


しかし、翌日の手術のことで頭が一杯。手術当日の説明を受けさらに緊張が高まる。家の用事やらなんやら雑用の多い妻は、子供を迎えに行ったあと病院に家族全員がそろう。私と妻、子供三人の5人。


「パパ死んだらどうする?」


照れながら
「涙が出てくる」と、長男




これまでなら、この程度の手術と思っていただろう私も、自分がようやくこの立場になって不安な気持ちが手術の複雑さや難しさと比例するものではないということに気づく。言葉にしてみればあっけないが、これまで看護師としてそのような視点に気づくことができなかった。恥、未熟の極みである。




・・・もう17時ころだっただろうか。ゆっくりと話もしたので、妻と子ども三人は自宅へ帰って行った。



夕食は、病院食だけあって少ない

別に病院食なのでカロリーは少なめなので、文句はないのだがいつもならハンバーグも3個は食べているだろう。ところが病院食は1つ。ダイエットにちょうどいいと自分を納得させながらも、妻にメール・・・



「おなかすいた」



「がまんだよ」



そうだよな・・・、そう思いながらTVをみるなどし自分の緊張をほぐす。慣れない携帯電話でのblogの更新をしてみたり、予備校の準備をしてみたり。


窓はほとんどカーテンを閉めていたのだが、ふと窓側を見るとカーテンの隙間から見事な満月が。

こりゃ縁起がいい。


強烈な不安の中に、満月はひと時の安らぎを与えてくれた。

「TVでもみてリラックスするか。」

また、TVでごまかそうとしていたら突然誰かが病室に来る気配



困った。会えた安堵とまた別れる時さみしさが増すじゃないかという気持ち。
妻と子どもたちである。
長女が慣れない平仮名を書き、絵を描き、長男がそこに色を塗った折りたたんだ手紙。手紙の表紙にはラムネがセロハンテープで張り付けられていた。子どもたちの精一杯の気遣いだろう。涙が出そうになるがこらえた。精一杯こらえた。

妻はというと、照れくさい手紙に、サラダの差し入れ。


体重を気にする私、しかし、はらがへったというわがままに少しだけマヨネーズで和えたサラダを持ってきてくれた。

「まるで明日死ぬみたいやな(笑」

長男とサラダを分け与えながら、気がつけば面会終了時間の20時


妻と子どもたちの背中を見るのはつらいので病室入口でバイバイをする。


TVをみながら1時間が過ぎ2時間が過ぎ3時間4時間・・・
気がつけば、0時をまわっている。
オーバーテーブルに並べた妻や子どもの手紙や絵をみながら涙が出る。

別に死ぬと決まったわけでもないのに。


翌朝11時オペ予定。そのため、ラインキープ(手術用静脈路確保)は7時ころに来る。いよいよ恐れていた手術が近付いてきた。




これから、一人で朝まで過ごすことになるのである・・・・





続く










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